特集Vol.62007/10/9更新
   グラススキーの世界

取材協力:アップ神鍋スキー場
http://www.kannabe.co.jp/
パンダはパンダでも・・・
 「プラスノー(ブラシ)」ゲレンデで夏場スキーをしていることを人に説明すると、『あっ、グラススキーね!』という反応が結構あります。「プラスノー」ゲレンデでのスキーと「グラススキー」、これらは似て非なるもので、ジャイアントパンダとレッサーパンダぐらいの違いが・・・。もちろんどっちがジャイアントパンダで、どっちがレッサーパンダでと言う意味ではないですが。ただ、問題なのは経験したことのない「グラススキー」は良くわからないし、さらに「プラスノー」は、これまた説明するのが難しく、『人工芝の上を滑るの?』などと言われると、なんだか正確に理解してもらうことがどうでもよくなってしまいます。だから最近では、夏場レジャーの話になっても、アウトドアという言葉でごまかして、それでもその話題に深くつっこまれると、敢えて「グラススキーやってます。」の一言で流してしまうことにしています。本物の「グラススキー」をやったこともないくせに。
 今回、アップ神鍋スキー場の「プラスノー」ゲレンデに取材に行った際、ゲレンデのすぐ隣に「グラススキー」ゲレンデがありました。日ごろ、自分の説明下手さをごまかすのに「グラススキー」を“悪用”しているにもかかわらず、またこれを機に「グラススキー」の世界を感じてなどと殊勝な思いを抱くでもなく、ただ芝生が気持ちよさそうだったので、スタッフ、常連さんに声をかけて見ました。写真を撮らせてくださいとお願いしたら、『写真もいいけど、是非体験してみたら?』と誘ってくれました。少しビビリながら挑戦してみました。
グラススキーゲレンデ
これが新しい発見の連続でかなり面白かったです。ハマルかも。
道具と滑走感覚
 「プラスノー」はブラシが斜面に敷かれていて、ここを冬場と同じ道具で滑ります。(ブラシとの摩擦で、板のエッジやソール面は削れます。)
 一方、「グラススキー」は天然芝の生えた斜面を専用の板(写真右)で滑りますが、ブーツ、ストックは冬シーズンと同じものが使えます。ただし、芝を痛めないようにストックの先端にカバーをつける必要があるようです。また、芝斜面とはいえ、安全のため、ヘルメットやヒザあてやヒジあてを準備したほうが良いようです。板は高さが
上から85、87、75、55(単位;cm)の板です、今回体験したのは初心者用の55cm(一番下のものです。)基本的に上級者は長めを使うそうです。短い板は扱かい易い反面、体が遅れると後ろにひっくり返えります。 グラススキー専用板
あるため、なんだか高ゲタを履いているような違和感がありましたが、少し滑って慣れると、気にならなくなると思います。
  常連さんによると、『「グラススキー」と「プラスノー」の一番大きな違いはスキー板をズラせない点。』とのこと。なるほど、「グラススキー」ではキャタピラーが付いた板を使うのですが、このキャタピラーがコロコロ転がることによって滑走するので、スキー板のようにスライドする(ズレる)ことができないということです。 また、『スキー板の場合、ターンの方法の一つとして加重移動を利用するけど、「グラススキー」はそれだけでは曲がらなくて、例えば右に曲がりたい時は、外足(左足)を意図的に進行方向に出して、反対に内足(右足)を後ろに引いてやらないとダメ。』らしいです。
ストック 芝を痛めないよう、ストックの先にゴムをつけます。
 そういえば子供の頃、ふと疑問に思ったことがあります。ショベルカーや戦車には車輪ではなくキャタピラーが付いています。車輪があれば自動車のように曲がりたい方向に曲げればよいけ
ど、車輪がついてないショベルカーはどうやって?と思いながら工事現場で観察していると、右に曲がるときは右のキャタピラーの動きを遅くあるいは止めて、左のキャタピラーがたくさん動いて曲がっていました。目からウロコでした。目からウロコと言えば、建設中のビルの上にあるクレーン、あれどうやってだんだん高くなるビルの上にのってるのか気になって、それで調べてみると・・・。
話をもとに戻しますが、「グラススキー」のターンの理屈は、あのショベルカーの理屈と同じなんだと思います。

モーグルとの違い
 実際に体験して思ったのはモーグルに比べ、体に“自然な感じ”がしました。モーグルのショートターン(特にスピードを出してコブを滑るとき)のように、上体をフォールライン(斜面下方向)に向けるのではなく、 「グラススキー」では曲がりたい方向に積極的に上体を向けていくらしいです。まず、上体を曲がりたい方向に向けて、そうすると下半身と板も自然に同じ方向に向いて、というような感じです。だから、体の下に板をセットして、エッジングするショートターンのように、下半身と上半身が“よじれる”ような負荷がかからず、楽で気持ちいいのです。
 「グラススキー」では、その構造上板がズラせないということは前述のとおりですが、逆に考えると曲がるときはいつでもカービングターンを体感できるということになります。このことも「グラススキー」の気持ちの良い滑走感覚を生み出している大きな要素ではないかと思います。常連さん曰く、『これら「グラススキー」のテクニックは、GS(大回転競
 
技)のテクニックにも通じていて、そのトレーニングにも使われている。』とのこと。この「グラススキー」の技術が直接モーグルに結びつくかどうかは分かりません。でも、このテクニックがスキーの幅を広げ、そしてスキーの楽しみをも広げてくれるのではないかと思いました。 リフト
「Tバー」という簡易リフトを利用して、斜面を上ります。

「グラススキー」ゲレンデ右(斜面に向かって)コースの写真です。「Tバー」を挟んで左右にコースがありました。それぞれがコース幅約50m、コース長は約200mです。斜度は8度ほどです。 芝生は綺麗にを維持管理されていました。

  一番左がスタッフのキタイさんです。真ん中と右の写真が、今回いろいろ教えてくれた常連さんたちです。スピード感があって、ゴーッとキャタピラーが
  回転する音が、かなりの迫力でした。
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